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NORITAKE/HARADAのデニムジャケットを見ると、私はデニムに対する美学を感じる。
私は、デニムそのものがロマン主義的幻想に包まれたものであると解釈する。過去の古いものに対する敬意や、個人の主観によって美しいとされたものが正義とされるものであり、デニムにおいてこの振り幅は個々人によって非常に大きいと考える。
私は原田氏、則武氏のデニムジャケットに対するアプローチの仕方が面白いと思った。
「レプリカを作ることに興味はなく、厳密にLevi'sを観察する作業を基本とし、成り行きに任せながら、何か邪魔なものを省いた、それでいて物足りなさを微塵も感じない姿を見つける作業を行なっていた。それは彼ら自身にも既視感のない美しいものを見つける作業であった。」と彼らは語る。
「出来上がったものはLevi'sをきっちりとトレースしつつも、過去のマスターピースに依かからない影や亡霊のようなものができた。」という。
デザインはLevi'sの1stをベースにしているが、これはあくまでも「ベース」である。
プロダクトを目の前にしたときに、モードな空気を感じたのだ。デザインは極限まで削ぎ落とされている。あくまでも「ベース」というのは、Levi'sの1stに対する解釈が「素直ではない」と私が感じたからである。やはり、どこか捻くれている。
無骨なアメリカ的要素、洗礼されたユーロ的要素のどちらもが混在した独特な空気感を纏っている。
アメリカの超長綿を使用したこの生地は旧織機で織っているとのこと。生産効率が悪く、現在では貴重とされている旧織機を使用することより、生地の表面にネップが生まれ、表情の豊かなデニムが仕上がるのだ。また月桂樹のボタンはフランスのものを使用している。
ここでプレスリリースの記事を引用する。
「使用されるマテリアルの多くが独自に開発される一方、そのカッティングやグレーディングバランスは主にLevi Strauss社の過去の名作を習作したものに過ぎず、彼ら自身のアレンジやオリジナリティは極力排除されている。異様に拡張されたサイズレンジは、トレンド性や普遍性、またはセクシュアリティといった概念自体を内包し、美しくグリッド状に示されたそれぞれのサイズが自由の意味を問いかけてくる。」
以前、原田さんと文面上で連絡を取り合った際に「お客さんに半分は放り投げるみたいな、そういうのは結構意識しながらやっている。」と仰っていた。
30から58まで、計12のサイズレンジは正に着る者に対する質問の投げかけであると感じる。
feetsでは
42 (REGULAR)
44 (REGULAR)
46 (EXTRA)
50 (EXTRA)
の4種サイズ展開。
原田氏、則武氏の美学はデニム作りに対する反骨心すら感じるものである。
本質的に良いデニムジャケットが手元にあることは嬉しいことだ。ファッションとしても1着は持っておきたいところである。
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